社会は「お金」の力で動いている(1)

今年1月から、「平和につながる”お金”のつかい方」として講演を開催しています。

その中で、ふと思った、感じたことがあるんです。
ご参加くださる方々は、本当に意識が高い方です。

その一方で、主催として、もっとたくさんの方に聞いていただきたい、
とても大切な内容であるにも関わらず、なぜ、なかなか届いていないんだろう…
どうすればもっとたくさんの方に関心を持ってもらえるのだろうと悩むことがあります。

そこにはたくさんの誤解や思い込みがあるんじゃないかと思うんです。
例えば…

  • 自分が戦争に関わっている、加担していることを知らない
  • 自分が動かしているお金なんてささやか。だから関係ないはず
  • そういうことは政府が、国がやることでしょ。個人にはどうしようもない
  • まぁなんだかんだ言って…日本が戦争になることは近年中はないでしょ。だから大丈夫

こんなかんじかな、と思うんです。どうでしょうか?

私自身、鬼丸さんのように、16年以上NGOで活動したり、
平和に意識を向けていたわけではない素人ですし、
「戦争って国と国が領土とか、宗教とかで争っているんでしょ?」
と思っているタイプだったので、おんなじです。

その中で、鬼丸さんや登壇してくださった専門家の話を聞いたり、
勧められた本を読んだり、
ひとつアンテナが立てば、関連することを調べたりする中で、
初めて知ったこと、衝撃だったこと、気づいたことがあるのも事実です。

だから、ひとつずつ、考えてみたいな、と思ったのです。

自分が戦争に関わっている、加担していることを知らない

メルマガをちょこちょこ読んでくださっている方なら
耳にタコ、だとは思うのですが、

三菱UFJフィナンシャルグループや、三井住友フィナンシャルグループ、
オリックスや、第一生命といった日本の金融機関が、
クラスター爆弾を製造する企業に、
多いところで1000億円以上投融資していることを、私自身知りませんでした。

そして、さらに、

アメリカ、イギリス、フランスなどの核兵器製造企業20社に対して投融資した
世界中の金融機関などについて調べた結果、329の金融機関などが計約55兆円を提供。

そのうち、日本ではメガバンクなど7社が計約2兆円を提供していたそうです。
(2018年3月7日発表*1)

具体的には以下の通り(*2)

(出典:『Don’t Bank on the Bomb』より抜粋。単位はいずれも、百万米ドル)

つまり…

——————————————————–
三菱UFJフィナンシャル  (84億7000万ドル)
みずほフィナンシャル   (51億7200万ドル )
三井住友フィナンシャル  (42億4600万ドル)
オリックスコーポレーション(6億1000万ドル)
三井住友トラスト     (3500万ドル)
千葉銀行         (2000万ドル )
野村           (300万ドル)
——————————————————–

ということになります。

核兵器製造企業とは

核兵器製造企業、というと、ミサイルだけをつくっている特別な企業を想像しがちですが、
核兵器の製造や保守、ミサイル発射システムに関わる企業ということです。

例えば、エアバス・グループ(欧州)やロッキード・マーチン(米国)、
ボーイング(米国)などが選ばれています。

エアバス・グループやボーイングは、民間の飛行機も製造していますよね。

現在、日本におけるエアバスの顧客は全日本空輸(ANA)、
日本航空(JAL)、スターフライヤー、
低コスト航空会社(LCC)の エアアジア・ジャパン、
Peach Aviation、ジェットスター・ジャパン、バニラエアの7社です。
(エアバス・ジャパンHPより抜粋)

航空機マニアの方は意識されているかもしれませんが、
関心のない方は何気なく、お世話になっているかもしれません。

上記のように知っている企業も、知らない企業も列挙されているのですが、
結局、軍需産業というのは、軍事品だけに特化して関わっているところは少ないということです。

民間にも、それこそ私たちの生活に関係する製品を開発、製造している企業が
同様に核兵器にも関わっているわけです。

まとめ

そこで私は2つのことを思いました。

まずひとつめは、
だからこそ、私たちの身近に、兵器や軍事に関わるものが存在するということ、
戦争って特別なものじゃないということ。

そしてもうひとつは、
技術と軍需の境界線の難しさです。

上記のように、航空機の発展や開発、製造がNGなわけではないのはわかります。
私も恩恵を受けています。

でも、核兵器や軍需となったときに、
それは見過ごしていいのだろうか…

エアバスやボーイングが、核兵器製造企業と認定されることで
航空機産業自体への投資がNGになってしまうのは、あり得るのか。

でも、だからといって「利益を出すためだからしょうがないよね」
というのではいけないんじゃないかと思うんです。

先に述べたように、
多くの企業が軍需専門ではなく、民間の製品でも利益をあげています。
だったら、核兵器や軍需ではなく、
そちらの事業を伸ばすことを、私たちは促すべき、

それは私たちの意識から変えることだと思うんです。
そこから、始まるんだと思うんです。
というか、そこからしか、始まらない。

お金がどんなふうに、どこに流れているのか。

でも、そうは言っても、そんなこと難しい。
自分が持っている「お金」なんてささやかだし、
そんなに影響があると思えないよ。

私自身、個人でつかうお金なんてたかが知れているな、
と思っています。

ちょっとその辺のところを、次回、考えてみたいと思います。

(森本菜都美)

(参照)

*1:核兵器製造企業に融資、日本の7社公表 ICAN(朝日新聞デジタル)
*2:Don’t Bank on the Bomb

タイトルとURLをコピーしました